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下町イーハトーブ。

漫画家森山まみちのブログです。秋田書店ミステリーボニータにて宮沢賢治の物語「銀のノスタルヂア」を不定期掲載。只今育児休暇中。2016年6月より制作再開です。

さようなら、おばあちゃん。

 

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先日10日の正午、母方の祖母が天国へ旅立ちました。

 

知らせを受けたのは夜、母からの電話で。

 

いつもと同じように朝ごはんを食べて、お風呂に入って、そのままスーッと眠るように息を引き取ったそうです。

 

享年92歳。

老衰です。

 

最後に会えたのは昨年の十月。

目もみえず、声も出ない状態だったのですが、わたしが手を握ると、泣きそうな顔で

表情がゆるみ、「万里か~」といってくれているような気がしました。

 

最後に手をもう一度しっかり握って離し、部屋を出るときに振り返ると、目をつぶりまだ手をあげたままだった祖母の姿が、今でも目に焼き付いています。

 

 

とっても優しいおばあちゃんで、慈悲深く孫たちにとても好かれていました。

 

わたしにとっては土俗の昔話、地域にまつわる黒蛇白蛇の民話、狐火をみたこと、昔からの民間伝承を教えてくれた方でもあります。

 

子供の頃里帰りしたとき、大蛇が息づく滝にも一緒に行ったことがあります。

 

祖母は奥深い山の上に住んでいました。

家からは広大な緑なす山々がずうっと連なって見えました。

知らない場所で緊張して夜眠れないわたしは、祖母の寝室をおとずれ、一緒に眠ったものでした。

山の夜はとても深い闇をおとします。

父も母も熟睡していて目を覚ましません。

子供にとって、広大な自然と獣が息づく中で過ごすことは、大人以上に感性が敏感になります。

なぜか子供ながらに父や母より祖母と一緒のほうが、太古から続くこんなくらい青い闇夜の中は安心できると思っていました。

祖母は「眠れんのか。こっちおいで」と優しく迎え入れてくれました。

 

あっちの世とこっちの世。

太古の夜と、現代の夜。

そのはざまでうろたえている幼い私を、祖母はいつも優しく付き添ってくれました。

 

あの夜の原始的な怖さと、あたたかさを生涯忘れないでしょう。

 

 

 

祖母も書くことがすきでわたしが一人暮らしをしていたときも、文通をしていました。

 

九条武子がすきで、彼女の言葉をいつも文面に記していました。

 

 

星の夜空の うつくしさ

 

たれかは知るや 天のなぞ

 

無数のひとみ 輝けば

 

歓喜になごむ わがこころ

 

ガンジス河の 真砂より

 

あまたおわする ほとけたち

 

夜ひるつねに 守らすと

 

聞くになごめる わがこころ

 

          

         「聖夜」より

 

 

人生で一番うれしかったときは、

娘である伯母の結婚式のとき、勤めていた工場の仲間がきてくれて祝ってくれたこと

といっていた祖母。

 

慈悲深く、優しく、辛抱強かった祖母。

 

まだ祖母がわたしが子供の頃迎え入れてくれた優しい笑顔で過ごしているような気がしてなりません。

 

 

どうか祖母が天国という春で、桜や菜の花が淡く光りたつ中、

いちばん幸せだったときを生きていてほしい。

 

 

優しい光が祖母の今生をいたわり癒しますように。

そして来世をあたたかくあたたかく照らしますように。

 

 

 

ありがとう、おばあちゃん。