下町イーハトーブ。

漫画家森山まみちのブログです。秋田書店ミステリーボニータにて宮沢賢治の物語「銀のノスタルヂア」を不定期掲載。只今育児休暇中。2016年6月より制作再開です。

石牟礼道子さん。

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今日、自分のお薬をいただきに病院へ一緒に携えた本。

 

石牟礼道子さん、恥ずかしながら存じ上げておりませんでした。

伊集院光の「100分de名著」で「苦海浄土」が紹介されているのを

それはもう、衝撃を受けながら見て、

「らじおのおと」でもゲストのジブリ鈴木敏夫さんが言及しているのを

聞き、即テキストと、石牟礼さんの代表作をアマゾンで買いました。

 

「苦海浄土」はお財布と相談して、できれば池澤夏樹さんが編集したもの

を買いたいと思っています。

 

 

苦海浄土 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

苦海浄土 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

 

 

 

「椿の海の記」はほぼ8割読み終えました。

1920〜30年代、著者が幼いころのふるさと、水俣の情景を紡ぎだした傑作です。

それはつまり、チッソの水銀漬けにされていない以前の、

万海が豊かな生命力で広がっていた水俣

いつも裸足で町をさまよう狂ってしまったお婆ちゃん、「おもかさま」。

そんなおもかさまに、幼女だった著者はいつも寄り添い、手を握ります。

 

人の記憶はなんとまろやかで美しいく感じるんでしょうね。

戦前のあの時代、人買いや恐慌、戦争や結核

民衆を灰色の煤煙のように包み込んだ、とても貧しい時代だったのに

水俣の海は豊穣を天に尽くすかのごとく命は廻り、人も優しく描かれています。

(もちろん田舎の陰の部分もそのままえぐりとっているのだけども)

 

とくに、子供だった著者が春の原っぱに寝転んでいるシーン。

山々の香気に魂を吸われ、山の木々から空へ風のようにたち飛んで行く

花粉のキラキラを確かに自分の目で発見する。

やがて自分の魂が離脱したかのごとく、己もその美しい塵の中に混じってゆく。。。

 

そのような描写など、まるで宮沢賢治の詩、「林の思想」を彷彿させました。

 

 

石牟礼道子さんのドキュメンタリーで、担当されていた編集さんが、

 

「彼女は幻をみることができる作家」

 

と評していますが、そのとおりだとわたしも浅読ながら感じました。

テキストで知りましたが、やはり宮沢賢治もお好きだったそうですね。

 

本好きの方ならおわかりになるかも。

ときに、自分の本能、霊感、感性が、

「ぴったりくる❗️」

と思える本や作品、作家に出くわす時がありませんか❓

「好き」という次元を超えたところにある、なんともいえないシンクロ感、

一体感を感じる時が。

「わかる」という言葉でもまだ弱いのだけれども。

 

本著はそんな感覚を呼び起こさせたようでした。

 

 

石牟礼さんの見た豊穣の世界を、もっと読んでみたいです。