マンガ道。

漫画家森山まみちのブログです。秋田書店ミステリーボニータにて宮沢賢治の物語「銀のノスタルヂア」を不定期掲載。こちらは主に私的日記です。

わたしが聞いた声は

あの映像を

 

そうなのだと実感してみることに

 

とても長い時間がかかった。

 

北から離れた東京の下町では、

 

マンションが崩れやしまいかと

 

机の下でアシスタントさんと手を繋いで

 

振動に耐えるしかなかった

 

あれから8年

 

まだわたしは、出来事を

 

そうなのだと実感してみれていない

 

 

怖くてみれない

 

そこだけワープして時間と空間が飛んでいるのだ

 

 

 

遠い地域のことだからという残忍な気持ちも

きっとどこかにあるだろう

 

 

人は結局は

 

自分が経験しなければ

あれはそうなのだとみることも

話すこともできない

 

 

わたしが経験したことといえば

 

東の大鯰の振動にただオロオロと怯えていただけ

 

 

 

そんな自分が

 

 

東北のことをかいてもいいのだろうか

 

 

賢治をかくことだっておこがましい

 

 

それはひとつの礼儀なのか

 

それともただ礼というマントを被って

逃げている卑怯者なのか

 

 

 

その判断さえも大きなブロックが

冷静さを奪う

 

 

あれはああだったのだといえる時代は

わたくしの生涯においては

きっといえやしない

 

 

ただ同じ時代を生きた

 

同じ日を過ごした

 

 

電気交流のブラウン管の向こうで

 

 

見た

 

 

聞いた

 

 

人の叫び声を

 

 

 

こだまする潮を