マンガ道。

漫画家森山まみちのブログです。秋田書店ミステリーボニータにて宮沢賢治の物語「銀のノスタルヂア」を不定期掲載。こちらは主に私的日記です。

近況。

あれから何度昼が来て夜がきたのか。

 

 

もうわからない。

 

 

今やわたしはこの世界で浮遊している

一個物にしぎず、

下町の雑踏の中を娘を乗せて自転車でかけたり、

苦手な夕食を作ったり、

朝から灼熱のベランダで家族の洗濯物を干したり

する以外は、

 

まったく無産状態の一個物である。

 

 

これからこうしよう

 

という漠然とした思いはあっても、

 

それは頭の中で砂のように流れて行く。

 

それの繰り返しで

夏の一日が過ぎて行く。

 

実際わたしが日中やっていることといえば、

 

 

ひたすら眠ることだった。

 

 

夜どれだけ寝ても、朝も眠かった。

 

昼間も眠れた。

 

いくらでもいくらでも眠れた。

 

まるでこの現世にいきているというよりかは、

 

あちらの世界でゆうらりゆうらり休養をとっているような感じだった。

 

 

そしてそれが、ひどく気持ち良いのである。

 

 

もう少しであちらへ旅立つ老人のように

過ごしている自分を勿体無く思う一方で、

 

 

人は結局、

 

人生において

 

何もなさなくてもいい

 

 

という禅の思想が頭の片隅にあり、

その言葉を勝手に解釈して甘えながらゆうらりゆうらりしているのだった。

 

 

五歳の頃から志してきたことを

 

今梶をかえようとしても、

 

心がまったく追いつかなかった。

 

 

稼げない漫画を描き続けることが、

 

 

12年間プロでやってきた自分にとって

 

無意味に感じるものかは、

 

考えたくもないほど、今自分の身に降りかかっている。

 

 

いや、そもそも

 

 

この12年間やってきたことが、

一体何だったのかも、わからなくなってきた。

 

 

今や私自身なにを精神的支柱にして活動を続けて

ゆけばいいのかもあやふやな状態である。

 

 

母親は、ネットの世界で売れる方法を探して

必死で応援してくれ、電話で教えてくれたりしたが、

正直私の今の気持ちは、

再起を図る闘争心をも今は消失していて、

ちょっとゆっくりしたかった。

 

 

 

 

主人はどうせなら、一年漫画を休んで、

うつ病の治癒に専念してはどうかといった。

 

 

ああ、それもいいかもしれないな。。。

一年も経てば、自分の傷も随分癒えるだろうし、

今急速に加速している時代の流れも変わっているかもしれない。。。

と一瞬思ったが、

 

その彼の心の思惑は、本心ではこの一年でもう一人子供を

作りたい、その気持ちから発している気がしないでもなかった。

 

 

とんでもない、

もう子育ては御免こうむりたい。

 

子供ができたら五年は自由に動けない。

 

 

わたしは休養を拒絶した。

 

 

 

しかしまだ、描き続けるのか、

このままダラダラ休み続けるのか、

 

 

なにもなにも

 

なにもかも

 

わからない

 

といった感じが続いている。

 

 

そんな自分の傷心を慰めてくれるのは

 

 

堀内孝雄の「愛しき日々」

 

を聴くことだった。

 

1986年のお正月ドラマで一気に有名になった

「白虎隊」のテーマソングである。

 

 

あの詩のすべてが、いまの自分の空虚な心に

染み入り、何度も聴き入ってしまうのであった。

 

 

私の青春の影

売れない漫画を、夜に昼に描き続けることだった。

 

 

 

ただ、この世で無の一個物である自分が唯一、

「人間らしい」感情をもつときがある。

 

 

それは、自分と同世代の人が成功をしていること、

仕事で大金を稼いでいることを

みたときである。

 

 

その時の自分の憎悪にも似た黒い大蛇が

それは大量にとぐろを巻いて、噛み付く時期を

見計らっている、そんな怨念にちかい感情を

抱いた時は、

 

 

ああ、自分はまだ、生きているんだなあ。。。。

 

 

と感じる。

 

 

そのようなおとろしい感情を手放さなければ

とても今後の人生は生きてやって行けない、

もう稼ぐすべもないのだから、と

笑顔でそのような方達にエールを送ろうではないか、

頭では言い聞かせても、

 

 

メディアでみる華々しく輝く彼らをみるわたしの

冷たい感情と、舌打ちは変わらないのだった。

 

 

 

時代はいつだって、作り手に冷たい。

 

 

 

今、ボンヤリ思っていることは、

 

 

専業主婦って幸せなのかなあ。。。。。

 

ということだ。

 

 

母は専業主婦ではなく、

バリバリのキャリアウーマンだった。

姉も働いている。

 

わたしの友人たちもみな教師や代理店で

働いている。

 

 

学生時代、わたしはみんなに

「絶対仕事しかしてなさそう」

と思われていた。

 

 

そんな自分が、

 

 

まさか自分が専業主婦になるとはなあ。。。。。

 

 

。。。。。

 

 

現代では、専業主婦を見る目は冷たい。

 

わたしも、夫のお金で自分の好きなものや趣味の

ものを買えるのかなあ。。。と疑問に感じる時がある。

 

 

そしてわたしはどうしても、

自分が家族の幸せや健康のために

この身を生涯捧げることが難しいと感じる

自分第一主義なのである。。。

 

 

主人は子供を持って、そんな私の習慣を見て

この女は、到底子育てに向いていない人間だと

痛感したという。

 

 

 

。。。。。。長々と書いてしまったが、

 

 

そんな具合で、まだまだゆうらりゆうらり

していることには変わりはない。

 

 

明日、描けるかもしれないし、

寝てるだけかもしれない。

 

一定性がない。

 

粘りがきく状態ではない。

 

 

誰にも読まれない漫画を描き続ける

気力を今は持てない。

 

 

ガタガタでペースが崩れている以上に、

私自身が不安定なのである。

 

 

 

朝が来るのがいやだ。

 

 

どう過ごせばわからないから。

 

 

夜の皆が眠りにつく時間帯が、

一番心が落ち着く。

 

それは生きている時間が、

一度みんな死ぬからだ。